心理学には「セルフイメージ」という言葉があります。
セルフイメージとはその名前の通り、自分自身のイメージのことで、
私たちは、意識している・していないに関わらず、
心の中に「自分はこういった人間である。」といった自分の設計図を持っているのです。
私たちはこのセルフイメージに従って行動をしているといわれています。
反対に、どれだけ努力しても、どれだけ自制心をもって行動したとしても、
自分のセルフイメージに逆らっては行動できないとされています。
セルフイメージは「役割効果」とも呼ばれています。
「自分は○○である」と思っていることに対し、
人間は自然にその役割を演じてしまうのだそうです。
たとえば、自分は人付き合いが苦手だと思っている人は、
無意識のうちに、人付き合いが苦手な人間を演じてしまいます。
暗い表情、卑屈な態度、人の反応を過度に心配するようすなど、
人を遠ざける行動を取ってしまうのです。
このことに対して、明るく接すればいいであるとか、
プラス思考になればいいと考えるのは当然のことなのですが、
「明るくて人付き合いが得意なのは自分らしくない」というセルフイメージを
持った状態では、そういった行動を取れなかったり、
成果が出る前に諦めてしまったりして、結局セルフイメージ通りの自分に
落ち着いてしまうのだそうです。
勉強でも同じです。
数学が苦手と思っている生徒さんは、数学が苦手になるような行動を取ります。
わかるチャンスがあっても、そのことに気づかなかったり、放棄したりしてしまいます。
たとえ本人が努力したつもりになっていても、苦手というセルフイメージが
得意にさせるという行動を阻害してしまうのです。
このように、セルフイメージはその人の行動や人生を決めるカギとなるのです。
セルフイメージが正の方向に向いていれば正の向きに、
負の方向に向いていれば負の向きに、無意識のうちに向かっていきます。
お子様たちが将来「成り得る最高の自分」になるためには、
そのお子様にとって適正な、良いセルフイメージを持たせなくてはなりません。
そのために、私たち大人がセルフイメージの存在を知り、
お子様たちが良いイメージを持つための手助けをしてあげる必要があります。
大人たちの言葉一つ一つが子どものセルフイメージを作り上げていきます。
「○○くんはいつも計算が速いなぁ。」と言っていれば、
計算が得意な人間のセルフイメージが作られていきます。
お子様の日々の行動を観察し、良い所はどんどん褒めてあげて、
良いイメージを育ててあげてください。
また、欠点があれば、それを叱るのではなく、その中でも良かったことを
見つけてあげたり、また、できることを探して「できた」という経験を
積み上げてあげることが大切です。
私たち大人が与える一つ一つの言葉や経験が
そのお子様のセルフイメージを作り上げる材料になるのですから。
参照:「天神」メールマガジン
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